京都の冬のご馳走といえば【ふぐ】です。
ふぐが持つ淡白なのに独特のうまみコラーゲンたっぷりのお出し(スープ)はこれからの底冷えする冬の京の町には、欠かせない温かい食べ物の一つです。
しかも、女性には嬉しい脂肪なしの低カロリーで高タンパクなんです。
★ ふぐの歴史
ふぐは大昔縄文時代から食されていたそうです。
それは貝塚から多のふぐの骨が出ているからです。
おそらく串に刺し丸焼きにして食べられていたのではと、生焼けの内臓は食べなかったのではないかと思われています。
もしくは、当たって亡くなられた方を見て、内臓は食べてはいけないとなったのではないでしょうか?
★ ふぐの呼び名
平安時代には既に「布久(ふく)」「布久閉(ふくべ)」と呼ばれ、現在のような「フグ」という呼び名は、江戸時代中頃、関東で始まり、全国へ広がったと言われます。
その頃の名残や、「福」に繋がるという縁起の良さもあって現在でも下関や中国地方の一部では「ふく」呼んでいる事もあります。
「ふく」と呼ばれるに至った語源については、ふぐが海底の砂を吹き出てくるゴカイ類を食べる性質があるので、吹く(ふく)からきたとする説や、「ふく」という言葉に、膨らむ物という意味があり、そこから「ふく」と呼ばれるようになったとする説もあります。
また、「ひょうたん」に形が似ている事から、ひょうたんの別名である「瓠瓢(ふくべ)」から、フグの事を「ふくべ」(ひょうたんで作る酒器をふくべという)と呼び、「ふく」になったとする
説もあり他には、とみ、てっぽう、きたまくら、がんばはふぐの毒に由来する呼び名もあるようです。
とみは富くじの略語で、滅多に当たらないの意。(千葉県銚子市)熊本県地方(天草)ではトラフグを ブッキン と呼んでいるそうです。
最も有名と思われるてっぽうは 当たると死ぬから、または滅多に当たらないというところからきているとのこと。(略して「てつ」)
きたまくらはいうまでもなく死者の北枕のことであり、がんば(棺ば)は棺おけのこと。
いずれもふぐの毒に当たると死を招くことに由来する山口県の下関では「フク」と呼ばれる方も多いのですが、本来の古語では「布久」と書かれ、「福」や「富久」の読みに掛けて「フク」と濁らず言うのが風習だそうです。
関西では、後に「鉄」の部分と鍋料理「ちり」の部分をくっつけて「てっちり」と呼ぶようになりました。
関東では「ふぐちり」と呼ばれています。
ちなみに成体のふぐ一匹分の肝臓の毒素量(テトラドトキシン)で人を70人~80人ぐらい致死に至らしめる事が出来るそうです。
★ ふぐ(てっさ)の盛り方
ふぐは、普通のつくりのように刺身を切るとは言わずにてっさを引くといいます。
「盛り方にも種類があります」
鶴盛り、菊盛り、孔雀盛り、牡丹盛りと、お店の出し方によって変わってきます。
ちなみに当店は牡丹つくりでお出ししております。
★ふぐの皮の種類
身皮 トウトウ身 サメ皮 と三種類あります。
身皮
・身皮(三河:みかわ・昔の地名・愛知県の東部)は字のごとく刺身になる身の端のところを切り取った物
トウトウ身
・トウトウ身(身と外の皮の間の皮)
ちなみになぜトウトウ身なのかというと遠江(とおとおみ:昔の地名・静岡県の西部)で身皮(三河)に近いというところからもきています。
サメ皮
・サメ皮は、ふぐの外の皮で無数の棘(とげ)がありこの棘を包丁で引いて取り除いた物でサメのような肌からきていてこの作業を「さめ皮引き」といいます。
★昔し江戸前のふぐ鍋
割り下に大量のしょうゆ油と砂糖を用いて非常に甘辛い味付けが好まれたそうです。
★ ふぐ処理師の免許について
ふぐの肝臓にはテトラドトキシンという猛毒が含まれています。
よってふぐを提供する飲食店には必ずふぐ処理師免許が必要となります。
各都道府県の条例によって定められています
当店では(京都府)になります。
※免許制度ですので、お隣の大阪ならば大阪の処理師試験に合格しない限り
大阪でふぐを扱うことは出来ません。
このように非常に厳格な規則によって当店でもふぐを提供させて頂いております。
※この条例は25年につくられてその後人間国宝の坂東三津五郎さんが50年にふぐ屋さんで中毒死されてから一層強化されることになり、その時以後現在までには
死者は出ておりません。